女将のお針箱

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かちむし

東京下町の六畳一間で 貧乏なアパート暮らしをしていた 当時の俺は二十代 悲愴感はなかった 金はなくとも 若さがあった   小さな冷蔵庫の中には 賞味期限が切れた 海苔の佃煮の瓶詰と パンの耳が少々   その冷蔵庫のドレン水が漏れて 気付いた時には 畳が一枚腐ってた   大家のばあさんに事情を話すと 腐った畳一枚だけじゃなく 六畳間の畳全部を取り換えろ ...
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